『塔』短歌会 購読会員になる
10年ぶりで『塔』短歌会の会誌、『塔』を読む。様変わりして、1000人もの会員の出詠を選歌、校正し、選歌後記があり、全体を俯瞰して「新樹集」「百葉集」がある。購読会員として読ませて頂くのが申し訳ないようである。
上の娘が中学3年から大学1年まで『塔』短歌会の会員となり、短歌の奥深さを楽しませていただいた。娘が再入会して短歌を作り始めたのを機会に購読会員として読ませて頂くことにした。
永田和宏
遠き高処(つかさ)を雲わたる見ゆあの頃の病を知らぬ日の君がゐる
河野裕子
丈低き父母が並び送りくれし実家の川辺り苦瓜垂れて
河村真志保
蜂鳥の如く発車す 銀色の丸き背中を誰か押したき
『塔』3月号より
今月号には永田愛さんの『続河野裕子歌集』評 『さびしいけれどおおきな歌』がある。
永田愛さんが何歳なのかは解らないが、河野裕子さんの抱えたさびしさを「梨いろの月」*1 の如くに吸い取りて、
よりおおきなしあわせを第1首に据えている。最後には夫も子も言えない「そんなにさびしがらなくても大丈夫」と結んでいる。
末っ子の紅の仕合はせはその父と兄にはさまれ雑踏を来る
『体力』
ただ待ちて居りさへすればいい 雪踏みて雪積む橋を君かへり来る
『歩く』
あと三十年残ってゐるだろうか梨いろの月のひかりを口あけて吸う 『体力』
*1:注1